聴きました「sonatine」感想

前回の記事のおさらい。

若手ミュージシャンd.a.nの新譜を数日後に控え、お尻(私)は遠足前日のように楽しみと緊張とソワソワとムズムズを抑えきれずにいた。あるいはお尻(ケツ)に虫でもいるみたいに。

現在1番好きなミュージシャンなのは間違いないのだが、新譜「sonatine」から先行配信されている曲を聴くと、カッコイイがよく分からないとか、そもそもこれはダサさ半分では?とかが散見され、「d.a.n」の頃とは違うんだなと思わされる。思わされながらもカッコいい。

さて新譜の全貌は如何に?

 

といったところ。

さて「sonatine」が正式にリリースされ、ここしばらく、こればかりを聞いている訳なのだ。

さて感想はちょっと待ってほしい(架空読者の君よ。少し待ってほしい)。実は想定外というか、思い違いがあったのだ。

前回記事は、新譜の全貌や如何に?的なものだったが、実際に聴いてみると、大体は聴いたことがあることが判明したのだ。

「sonatine」リリース少し前に、d.a.nのライブを見に赤坂まで行ってきたのだが、そこで演奏した新曲でほぼ(というかおそらく)全てだったのだ。

もちろんその時と印象が違う箇所もあるし、インストの曲は演ったのかどうかも怪しいのだけど、それでも、やはり大体は聴いていたのは間違いなく、全くの初見ではない。

何が言いたいのかというと、全体の印象は前回の記事と変わらないのだが、そりゃそうだ。ということ。だって聴いてたんだもの。

 

なので今回は方針を変更して、具体的な曲のここが分からん!をやろうと思う。

あんまり批判的な感じにはしたくないので、新譜で1番気に入っている曲の「borderland」にしたいと思う。

この曲ははっきり言って最初からよく分からなかった。

 

メロウな感触の中で、軽快な心地いいリズム。いかにもd.a.nらしい。また、チルアウトしてからの、終盤のソウル感すらある盛り上がりも素敵だ。珍しく歌い上げるような所はグッとくる。

一方でよく分からないところもある。

まず構成だ。

この曲は大体3つに分けられてて、歌詞もそれに合わせて展開している。物語的なところのある歌詞で、3つのパートが進行するにつれて、歌詞内の物語も進行する。のだが、3つのパートはAメロ、Bメロ、サビ、みたいな関係ではなくて、独立しているように感じられるのだ。Aパートを受けてのBパートではなく、曲はそこからリスタートしているような感触がある。Cパートもそうだ。

音楽は地続きではあるものの、パートごとは関係してない。

歌詞の物語の時間の「飛び」と対応していると考えることも可能だが、うーむ。

どうなんだろう?

謎だ。

どういう効果を考えていたのだろう?

 

2つ目は山下達郎のモノマネである。声マネだよな?「雨が降って、雨が降って」のところ。SSWBでは歌詞のオマージュがあったし、なんかのインタビューでも音楽的な影響があった事を語っているのだが、それにしてもである。最初に聞いたときは笑ってしまった。

果たして声マネはオマージュといえるのだろうか?

もちろんただの茶目っ気なのだというのも有りだが、別の曲で歌詞のオマージュをしていると、d.a.n的にはこれはオマージュ区分として考えているのでは?とか考えてしまう。

いや、たまたま似てるレベルじゃねーんだよなぁ。うーむ。

 

でも、そんなこんなで頭にハテナマークが浮かんだり、クスクス笑ったりしながらも、聞くたびに馴染み、これ良い曲なんですよねぇと思う。リリースしてからかなり聴いてると思うけど、これ良い曲なんですよねぇと思う。

 

他の曲にも、ちょいちょいそういうハテナマークが浮かぶ瞬間はあって、でも聴き続けるにつれて気にならなくなるのだった。というか、ハテナりながらもカッコいいのは間違いなく、「良く分かんないけど、そういうもんかな」ってなったのだった。

でも、一個一個あげるのも大変なのでやらない。

 

私は思うのだけど、「良く分かんないけど、そういうもんかな」というのは、いわば白旗のようなもので、あるいは音楽の趣味や評価基準をグラグラと揺さぶられ、変更を余儀なくされている最中なのではなかろうか?分かんないのは事実なのだが、それを元に評価を下げるのは間違っている予感、あるいは可能性。自分が分からないだけで、素晴らしい何かだと思う。そんな感覚。

もう結構な良い歳なのだが、今になってもそういうものに出会えるのは悪くない。全くもって悪くない。

 

そんなこんなが「sonatine」の感想である。

全くね。すんごく良いアルバムなのでみんな聴いたら良いのになぁ。